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福岡高等裁判所 昭和25年(は)1430号 判決

控訴人 被告人 柳斗馨

検察官 宮井親造関与

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金二千円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

押収にかゝる証第一号(密造焼酎一斗二升位の換価代金千七百七十円八銭)を没収する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人村上義臣の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載の事実と同一であるから之を引用する。

訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実によると、原判決の刑は多少重い憾がある。なお本件犯行は昭和二十四年二月十三日のものであるから罰金等臨時措置法の適用のあること勿論であるところ原判決は之を遺脱しており之は判決に影響を及ぼすことが明らかである。以上の点において原判決は破棄を免れぬ。而して本件は、当裁判所において、直ちに判決をすることができるものと認めるので次のように自判する。

原判決に示している本件罪となるべき事実に法律を適用すると被告人の判示所為は、物価統制令第三条第十三条の二第三十五条罰金等臨時措置法第二条、昭和二十三年十二月十八日物価庁告示千二百六十八号に該当するので罰金刑を選択して被告人を主文第二項の刑に処し之が換刑処分については刑法第十八条によつて主文第三項のように定め主文第四項掲記の物件(換価代金)は同法第十九条によつて之を没収する。

仍て刑事訴訟法第四百条但書第三百九十七条第百八十一条によつて主文の通り判決する。

(裁判長判事 白石亀 判事 後藤師郎 判事 大曲壮次郎)

控訴趣意書〈省略〉

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